人気風俗店は面接も厳しい
ずっと、高収入を稼げるようになれるアルバイトを探していたあたしは、ぽっちゃりやデブだけでなく普通の風俗求人広告を見つけては電話をして、次々に断られてしまっていた。できれば風俗のなかでも楽な仕事で稼げるほうがいいと思って、求人広告キャッチコピーや待遇の文章とか、求人ホームページも吟味していたのだけれども、すぐにそんなことは無意味だと思ったのだった。なぜならば、ぽっちゃりなあたしが事前チェックしても、すぐに断られるからだ。
もう、日課のように求人サイトから応募しては風俗店に行って、面接を担当する求人担当の人に会っては断られていくうちに、ぽっちゃり女子のあたしはそんな「えり好み」できる立場ではないということを痛感したのだった。
でも実際風俗店に断られる原因は、よくわからなかった。ぽっちゃりというよりかはデブなのか太っているからなのか、笑っていないからなのか。化粧をがんばって面接に行ったり、面接でにこにこと笑って見せたりもしたのだけれども、面接で断られる結果はかわらないのだから、あたしにはもう原因が何なのかは全く不明だった。
風俗求人がたくさん載っているホームページなどを見ると、「最初にどのお店を選ぶかが肝心」などと書いているのだけれども、人気店は面接の人数も多いだろうから、そんなお店に合格する確率はものすごく低いのだろう。
あたしも、いわゆる「人気店」に面接に行ったこともあるけれども、対応した男性スタッフに「いま求人の担当がいないから、出直してもらえるかな」などとぞんざいな扱いをされたものだった。人気店は、面接してもらうのも一苦労。おそらく、あたしの容姿を見ただけで面接するのも面倒くさくなったのではなかろうか。
ようやく拾われた風俗店は、繁華街の表通りにあるわけではない、古びたピンクサロンだった。そのピンサロはとても雰囲気が良く、働きやすかったのだけれども人気店というものではなかった、聞くところによると、人気のソープランドは開店前に男性客が行列を作っているそうだし、デリヘルなどでも人気の女の子は指名客だけでスケジュールがいっぱいになってしまうという。
業種がピンクサロンだからということかもしれないけれども、あたしが勤めたピンサロでは行列ができているのを見たことはない。おそらく、まったくのダメな店というわけではないにしろ、人気のピンサロだったわけでもないようだ。まあ「ぽっちゃりした風俗嬢」ばかりを揃えているコンセプトのピンクサロンなのだから、太目の女の子に興味がない男性にとっては人気かそうでないかは問題外のお店なのだろうけれども。
最初に人気店に勤めると、やはりエリートな風俗嬢コースに乗りやすいらしい。男性客が支払う単価も高いだろうし、なによりも人気店は待遇や教育制度がしっかりしているという。待遇が良い風俗店は、やはり働きやすいし、教育制度がしっかりしていれば無用なトラブルも避けられて、風俗業としての技術もレベルアップできることだろう。そういう意味では、やはり人気風俗店で切磋琢磨して来た風俗嬢は、あたしのような底辺風俗嬢に比べて稼いでいる額がケタ違いだ。やはり、どのような店に勤めるかというのも、風俗嬢としてのスキルには深くかかわっているのだ。
あたしが勤めた風俗店は「ぽっちゃりピンサロ」。求人サイトでも中々応募しないし、一般的な人気風俗店ではない。繁華街の裏通りにある、知る人ぞ知る風俗店なのだろう。繁華街の表通りに無いからといって、稼げない風俗店だというわけではないのが不思議だった。
同時期に同じ求人サイトで入店した同僚のぽっちゃり風俗嬢たちの話を聞いてなるほどと納得したのだけれども、ぽっちゃり系の風俗好きの男性客は、店の立地がどこにあろうとも気にしない傾向があるのだそうだ。逆にいうと、表通りにぽっちゃり風俗店があっても、たまたま道を歩いている男性客がフリーで入店する可能性は低い。
裏通りの方が店舗の運営費が安い分、ぽっちゃりコンセプトを挙げて集客するのは自明なのだそうだ。立地は、風俗店にとっても大事な要点ではあるけれども、良い立地はコストもかかる。一概に、表通りにある風俗店の方がお給料も良いというわけでもないということを知っておいた方がいいかもしれないですね。