陰気な女が明るく変わる訳
ぽっちゃりやデブの女性はコンプレックスを抱えていることが多いです。コンプレックスを抱えているからこそ一般の風俗求人のサイトではなく、ぽっちゃりに特化した求人情報を見てしまうのだ。あたし自信も採用された風俗の面接でも、ずいぶんと暴言を受けたものだ。
「ネガティブ」「陰気だ」「お前はぽっちゃりではなくデブ」などなど…
初対面のあたしに向かって、ひどいことを平気で言う面接官だなぁ、とは思ったけれども、なぜか採用されたのだから恩しか感じない。
ぽっちゃりなあたしを採用してくれた面接官は純ちゃんと言うのだけれども彼が、あたしをはじめ求人広告を見て面接に来た太目な女たちに暴言を吐くのはいつものことだと後に知った。不思議なのは、陰気だとわかっている太目な女を何故採用するのかだ。どうせなら、陰気な女は不採用にしてニコニコと笑って、男にうける風俗嬢だけを採用すればいいようなものを、何故そうしないのだろうか。
そして、もっと不思議なのは、そうして陰気だ陰気だと言われた風俗嬢たちが採用されて、みんなニコニコと楽しそうに働いているということだ。あたしも、このピンサロで働いて性格が明るく変わった一人なのだけれども、同僚の太目な女たちも皆、面接のときは陰気だったのだ。間違えなくここの風俗嬢は求人サイトを見ているときは陰気だったのに…
面接官の純ちゃんは公には口にしないけれども、陰気なぽっちゃり女・またはデブ女は、心に鬱屈したコンプレックスを抱えているぶん、いざ働き始めてお客さんに褒められたりして働き甲斐を感じると大きく変わると経験で知っているのだろうと思う。ぽっちゃり求人は人間性をも変化させてしまうのだ。
とくに「ぽっちゃりピンサロ」という、そもそも体型にコンプレックスを抱えている女たちなのだから、コンプレックスが逆転して武器になると強い。あたしはまだまだなのだけれども、同僚たちを見ているとものすごくエネルギッシュな人ばかりで正直まぶしかった。
あたしは、ピンサロで勤め始めて楽しいことばかりだった。もし、コンプレックスを抱えていて、風俗で働こうかと迷っている人がいたら、まずは面接を受けてみればいいと思う。求人情報だけ見て、
「こんなに稼げたらいいなぁ」とか「貰ったお給料でいっぱい食べたい」なんか思っていてもしょうがないのである。
もしかしたら、求人面接官にひどい暴言を吐かれるかもしれないけれども、自分の殻にこもっているよりもはるかに大きな、自分が明るく楽しく変われるチャンスが転がっているのかもしれないのだから。
振り返ると、あたしが太り始めたのは、20歳ぐらいからのこと。ヨーグルトや牛乳が好きで、おそらくそればかり食べていたら身体のバランスを崩したのだった。生理が不順になって、ストレスが溜まって、眠れなくなって過食。コンビニに行っては、甘いヨーグルトばかり買って食べていたあたし。
フルーツヨーグルトなんて、ケーキや洋菓子に比べたらヘルシーだと思っていたのだけれども、実はそれがダメだったと知ったのは、ピンサロに勤め始めてからだった。どうしたってヨーグルトは牛乳を使うのだけれども、その乳牛の多くがたくさんのミルクを出すために「成長ホルモン」をたくさん含んでいる餌を食べさせられているのだ。そんなホルモンがヨーグルトを介して体に取り込まれていると、自律神経が壊れて生理不順になってしまうことがあるらしい。
そんなことを教えてくれたのは、ピンサロで面接官をしていた純ちゃんからだ。怖くなって、ヨーグルトを食べるのを辞めたら、すこしずつ生理周期が戻って来て驚いた。あんなに重かった生理痛も、不思議と軽くなっていた。食べ物の影響もあるだろうけれども、性風俗っていう「性」に関するお仕事をしていたのも大きいようだ。性的な興奮を感じている男性を見るのも、女性の生理周期を正しく導くこともあるのだという。あたしが見ていた求人サイトにはこんな情報は載っていなかった。ぽっちゃりの求人サイトを見ていたのに…
不健康なデブは、風俗嬢でなくとも嫌われる。どうしたって、生理や性なんて「ないもの」としてしまいがちだけれども、あたしたちはやっぱり生き物なのだ。変な食べ物を食べるのを辞めて、人を好きになって恋をしたりすると、身体も心もなんだか正常に戻ってくるのは不思議だ。
こうしてあたしの陰気なオーラはすっかり消え失せ、明るく、にこにこと笑える魅力的なぽっちゃり風俗嬢の一人になれたのかもしれない。正に、ぽっちゃり求人が運命を変えてくれたのだった。。。